お助け部ッ☆
『ところで………ここ、どこ?』
「………。」
山をずんずん登っていた姫香がピタリと足を止めて、神山の方に振り向いた。
コイツ、殴ってもいいかな?
「バカだろ!お前バカだろ!?」
『なっ…!そんな言い方しなくてもいいじゃないですか!!あたしだってまだ納得したワケじゃないんですからあっ』
殴ったらきっと竜に殺される……
そう思い直し、なんとか怒りを抑える。
それに、彼女にも何か理由があるらしい。
姫香の記憶は昨日の夜に飛んだ。
寮の姫香の部屋にて──…
「ひーめかっ♪」
『お!?』
ノックがしたのでドアを開けると、竜也がぎゅーっと抱きついた。
『な、何!?』
驚いたのと恥ずかしいのとで、焦った声を出す姫香。
とりあえず竜也を部屋に入れる。
「ちょっと充電〜」
竜也は、そう言ってから離れた。
『充電?』
ワケがわからず、竜也の言葉を繰り返す。
「明日1日姫香に会えないとなると俺、死にそうだから…今のうちに」
『……あの。何の話でしょうか?』
明日1日会えない?
天下の土曜日だよ?
次の日も休みだから、パラダイスな土曜日だよ?
あたし、バリバリ寮でまったりする気だったんだけど。
『竜也、用事?依頼とかなら手伝うよ?』
「俺はどこにも行かないよ。姫香が行くの………中間テストの、罰ゲーム」
竜也が申し訳なさそうな声でポツリと言った。