お助け部ッ☆
「…──ってな感じで…兄貴が不機嫌なのは女装そのものではなく、契約金をもらえなかったっていう悔しさからです」
一連の流れを語ってくれた恭くん。
いやー、まさかあたしがキノコ狩ってる間に(←だから狩ってない)そんなドラマが……!
「さしずめ、時給のいいバイトの面接に落ちたときのショック感に似てるんじゃないですか?」
翔平のショック度合いは別に聞いてないんだけどね?なんか例えがしっくりきすぎてムカつく。
っていうか……
『100万ゲットしたならよくない?』
十分大金だと思うよ?あたし。
仁と翼先輩の反対を押し切り、メイクを落とし始めた翔平に目を向ける。
「100万でどこに行けるっての?」
冷めた目でおっしゃったんですが……ある程度どこでも行けるんじゃないかと思ったのはあたしだけですか?
「100万じゃ片道ですら半分にも満たない」
どこまで行くつもりですか?あ、もしかして海外?
「100万だと…ギリギリ大気圏抜けるくらいまでしか行けないんじゃない?」
『あ、もう地球出ちゃう感じ?』
規模が違うよ、コイツ!一般論は通用しないよ!!
「どのみちこの100万は俺のもんにはならない」
「え?じゃあ兄貴、なんのためにそこまで……」
お兄ちゃんのまさかの発言に弟くんもビックリだね。
っていうか恭くんも、翔平が報酬を求めずに、言われたからやった、っていう選択肢はないものとして話を進めるんだね。
あたしもないと思うけど。
「……さらなる利益のため?」
…まだ稼ごうとしてるよ、コイツ。
『でもそれ、どういう意味?』
「交流祭だよ」
そう答えたのは翔平じゃなくて。
『大和先輩?』
だった。