お助け部ッ☆




『よくわかんないけど、竜也に恨みでもあるんでしょ?』

「恨み、ねぇ」



ニヤリ、と意味深な笑みを浮かべた彼。


なんなんだよ、ほんと。



「恨みじゃねぇよ。劣等感」



そう答えたのは、神山さんだった。



『劣等感?』

「おう」

「劣等感じゃねぇしっ!!」



若干慌てる彼をよそに、神山さんは続ける。



「コイツが副社長してる会社、ずーっと望月財閥にくっついて回ってるんだよ。

企業内容が似てるからか、いろんな場面で対立する。

でも望月財閥は、どの業界でもトップなワケ。


つまり、頑張っても二位なんだよ」



だから竜也に劣等感?それはちょっと違うんじゃ……だって竜也、まだ望月財閥とは関わってないじゃん。副社長の彼とは違って、竜也はまだ高校生なのに……


あ。二位と言えば。



『新田、二位だ』

「んな!?」



あたしの呟きに、過剰反応する彼。


あ、いや…しょうもなくてすみません……


ふと浮かんだだけの親父ギャグでした。



「お、お、お前もかァァァ!!!!」



わぁぁ!!とうろたえる彼。



『え、なんすか?』

「さっすが竜也の彼女!」



ケタケタをお腹を抱えて笑い転げる神山さん。


マジでなんなの?


ってか、あたし彼女じゃないし。



「アイツな、竜也にも全く同じこと言われたんだよ」



目の端に溜まった涙を拭いながら、神山さんが教えてくれた。



あぁ、だから劣等感を……


……もしかしてあたし、地雷踏んだ?



『あの…なんかすんません』



床にへたりこむ彼に、そう声をかける。



「それだけじゃねぇっ!」



くわっ!と立ち上がった彼。怒りで拳をわなわなさせながら、



「アイツと俺はかぶってる!!」



と、叫んだ。





< 317 / 332 >

この作品をシェア

pagetop