お助け部ッ☆
誰もがわかるほど、イライラ度MAXな竜也が、あたしの後ろに立っていた。
昼寝を邪魔された翔平や、ぶちギレた莉央と並ぶほどの黒いオーラを、惜しみ無く噴出させている。
「何しに来たの」
?マークもつかないくらい、短く質問した竜也。
「…交流祭の生け贄……お前のお気に入りを見に来た」
「…ふーん」
そう呟くと、スタスタとこちらに向かってくる。
そして、まだあたしの頭に乗ったままだった神山さんの手を払いのけた。
「…そーとーご立腹だな」
「うるさい」
神山さんが肩をすくめてそう言うのも、軽くあしらって。
「姫香の、バカ…」
そう呟いた。
『ちょ、バカって……!?』
抗議するために振り向こうとすると、後ろから抱きしめられた。
ぼんっと効果音をつけたくなるくらい、あたしの顔が赤く染まるのがわかった。
『…りゅーや?』
ドキドキとうるさい心臓の音をかき消すように話しかける。
あたしの肩の上に、ちょこんと顎を乗せた。
りゅ、竜也さん!?
近い!近いです!!息が耳にかかってます!!!!
「姫香って、案外鈍感なのな」
あなたに言われたくはないんですけど!!
そして近いんですけど!!
「姫香は俺のなの」
甘く優しいテノールボイスでそんなセリフ、しかも耳元で囁かないでください!!
なんか、暗示かけられてるような気分になってきた。
「…だから、あげないよ」
竜也はじっと、竜樹の目をまっすぐ見つめて言った。
「姫香は俺のだから。絶対渡さない」
あたし、モノじゃないんだけど。
なんか前にも言った気がするけど、人身売買は違法なんだからーっ!!
…けど、ギュッと一際力強く抱きしめられたら、そんなこと口にできるわけなくて。
あたしは、胸のドキドキと一緒に、そのセリフをのみ込んだ。