お助け部ッ☆



………あ!!翔平!!



車内を見渡す。



やはり翔平の姿がない。



ふと、自分がくるまっていた毛布の方を見た。





……あたしが入ってたやつの横にもう一つ毛布の塊があるんですけど。



じーっと見続けると、モゾッと動いた。


あ、あれは多分……


毛布の隙間から、赤茶色の髪の毛が出てきた。


間違いない、翔平だ……




『翔平もお寝坊組ですか?』




横に座ってた翼先輩に聞いた。




「姫ちゃんとは違うよ。翔平はあえて起こさない」




そう言う翼先輩には、微かに焦りが見えた。


あー、なるほど。翔平、低血圧だもんね。




『怖いんだ?』

「なっ!?」

『翔平起こすの、怖いんでしょ?』




おもしろそうなので、挑発してみることにした。




「こ、怖くねぇよ!!」

『じゃあ起こしてくださいよ』

「や、それはちょっと…」

『出来ないんですね』

「…み、見てろ!起こしてやるさ!!」




ちょこちょこちょこっと、翔平に歩み寄る翼先輩。


なんか可愛い。




「翔平、起きろ〜?」

「………」

「翔平〜?」

「うるせぇ。まだねみぃんだよ。…俺の睡眠、邪魔すんなカス」




そう言ったあと、




「ちっ」




と舌打ちして、再び眠りについた。




「姫ちゃんのバカ…」




マジで泣き出しそうな翼先輩。




『ごごっ、ごめんなさい!!今のはマジであたしが悪かったです!!何もかも想像以上でした!!』




怖ぇーよ、マジで怖ぇーよ!!


二度と翔平は起こさないぞ!!


あたしと翼先輩は、心にそう固く誓った。




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