お助け部ッ☆



『そんなこと…出来んの?』

「姫香…俺を誰だと思ってんの?」




竜也がニッコリと笑った。




『うん、あなたなら出来ちゃう気がする』




怒らせたら怖いタイプだよ、この人。




「依頼者、結婚を前提に付き合ってた彼女がいたんだ」

『田中さん?』

「うん。で、その彼女が急に田中に別れを告げて別の人と…今日結婚式を挙げる」

『はっ!?なんで!?!?』




結婚前提に付き合ってて急に別れて違うヤツと結婚!?

なにそれ!?




「彼女の両親、友達の借金の連帯保証人になってて。友達が行方不明になったせいで肩代わりさせられてんだ…」

『そんなっ…』

「日に日に酷くなる借金の取り立てに、彼女の両親はみるみる弱っていって…ついに倒れた」

『………』

「そんなとき…取り立て屋がバックアップしてる会社の若社長が彼女に一目惚れ。自分と結婚するなら、借金を帳消しにすると言ってきた」

『…それで彼女は……?』

「…そいつを選んだ。田中を捨てて、両親をとったんだ」




田中さんを捨てた…?




「田中は彼女を愛してたのに…彼女は結局金を選んだってことだよ」




竜也……?
違う…それは違うよ……




『あたしの勝手な想像だけどっ…竜也、間違ってるよ……?彼女は田中さんを捨てたんじゃなくて…田中さんを守ったんだよ……。田中さんのことが好きだから…巻き込みたくなかったんだよ……』




あたしはそう…信じる。




「なんで?会ったこともないのに、なんでそんなことが言えるの?」




そう言う竜也の顔は、無表情だった。


何を考えているのか、全く読み取れない。




『だって……』






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