三年後に君がいることを俺は願う
病気


「よくきたね、小鳥ちゃん」

「はい、先生」

通いなれた病院。
病院の中は消毒液の臭いだけ。
私はこの臭いがあまり好きではない。
体が拒絶する。
倒れるまではいかないけど。

「小鳥ちゃん」

「はい?」

「体の具合はどう?大丈夫そう?」

いつも同じことの繰り返し。
私は笑って返事をする。

「はい、大丈夫です!!」

今のところは体に問題がない。
つまり異常なしってこと。
私はホッとするんだ。
体はまだどこも壊れてないってことが嬉しくて。

「わかりました。では次、来る日は………」

そう言って着々と次回の手続きをする。
病院は週に一回のペースで行っている。

「………先生、小鳥は大丈夫なんですよね?」

急にお母さんが先生にそう聞いた。
私はちょっと怖くなった。
だって心の準備なんてできてないもん。

「それは………」

先生は言いにくそうに下を向いた。
それでわかったんだ。
そうか、私は………

「先生、正直に言ってください」

「………。小鳥ちゃんの余命は………長くとも一年です」

「っ………ありがとうございます、先生」

やっぱり私は長くは生きられないんだ。
わかってた………そんなの。

「小鳥ちゃん、運動とかは危険なのでやらないでくださいね?」

「………はい」

やりたいことの半分もやれない。
この世界はとっても狭い。

「ありがとうございました」

私は車に乗った。
そしてボーッと、窓の外を眺めていた。

『小鳥ちゃんの余命は………長くとも一年です』


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