「好きだよ、まゆり」
「お客様、こちらどうぞ」


ローテーションな声がかけられる。

いつの間にか真由理くんが隣のレジに戻っていた。

ややつり目な三白眼が私たちを見ている。

その鋭い目に気圧されたのか、彼女たちは一気に静かになった。


「お待たせしてすみません。こちら、どうぞ」


再び真由理くんが声をかけてくる。

今度は少し声に凄みが込められているように聞こえた。

鋭い目線が、更にその鋭さを増す。


「……ふう。

はーい、これお願いしまーす……」


彼女らはすっかり白けたようになり、真由理くんの方に数人がわかれる形でさっさと会計が終わり、そのまま帰っていった。


「……はあ」

一気に疲れ、気が抜けた。

気づけば背中が嫌な汗で濡れている。


「知り合いっスか?」

「え……」

「すんません、なんか割り込むみたいにして。辰己さん困ってる感じだったから……」

「あ、謝らないでください。ほんと困ってたから助かりました……」

「そっスか」


真由理くんはそれ以上なにも言わなかった。

でも私の方がなんだかスッキリしなくて、彼女たちとのことを打ち明けることにした。

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