ずるい。


「もー、日本酒弱いのに飲むって言い張るからぁ。お水ももらっておくね。」

前に一度、日本酒飲んだ時も、自分で飲むと言い出した割に帰り道の藤原さんは甘えん坊だった。
その時はずっとムダに私の名前を呼んだ。

警鐘がなる。危ない。帰り道が怖い。

「だから、酔ってないってぇ。いや、仮に酔ってたとしても、雫は可愛い!」

…あぁ、もう、タチが悪い。

「あぁ、はいはい、ありがとね。」

弾む心を隠すように適当にあしらうふりをする。

< 44 / 116 >

この作品をシェア

pagetop