ずるい。
「もー、日本酒弱いのに飲むって言い張るからぁ。お水ももらっておくね。」
前に一度、日本酒飲んだ時も、自分で飲むと言い出した割に帰り道の藤原さんは甘えん坊だった。
その時はずっとムダに私の名前を呼んだ。
警鐘がなる。危ない。帰り道が怖い。
「だから、酔ってないってぇ。いや、仮に酔ってたとしても、雫は可愛い!」
…あぁ、もう、タチが悪い。
「あぁ、はいはい、ありがとね。」
弾む心を隠すように適当にあしらうふりをする。