ずるい。

「彼氏になるとそうゆう顔たくさん見れるんだね。」

「え、そんな今までと違う…?」

「…いや、いつも通り、雫は可愛い。」

カラオケの密室に漂う独特の雰囲気がいつも以上に鼓動を早める。

プルルルル

部屋の電話が鳴った。

「お時間終了十分前です。ご延長は、いかがされますか?」

電話を取ったのは藤原さんだ。

「大丈夫です。」

そう電話を切ると壁にかけた上着を私へ手渡した。
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