ずるい。
キスできるまであと数センチの距離。

「だってまだ別れたことにはなってないだろ?」

「なってない。なってないけど、今晩は、藤原さんが白状しなくてもきっと私は寂しさにかずけてあなたを誘惑しようとした。」

「いつからそんな手管覚えたの、俺知らないんだけど。」

「あなたが自分をおじさんだって卑下する間に、私だってただの子供から少しはオンナになったんだよ?」

「もうこの子、怖いわ。」

「…今日だけ。ね?」

そう言って体の間の数センチに隙間を私は埋めた。

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