死者の闇〜最期のメッセージ〜
藍は心から思っている言葉を伝える。青磁のことでみんなには迷惑をかけてばかりだ。研究所で今日も解剖をしている全員に言いたいほど、藍はみんなに感謝している。

「藍さん……」

大河がそっと藍に触れようとした刹那、家の呼び鈴が鳴らされる。それも一度ではなく、急いでいるように何度も。

「誰かしら?」

藍は慌ててドアを開けるために廊下に出る。背後で大河が悔しげな顔をしているとは知らない。

「藍、原に調べてもらったところ怪しい人物が浮上した!!」

藍がドアを開けた刹那、如月刑事が言う。

「福山美里だよ」

如月刑事がそう言った刹那、藍の心臓はドクンと音を立てる。まるで青磁の骨だったと大河が言った時のように、藍の心に悲しみを作っていく。

「……嘘……」

体を震わせ、その場に座り込む藍に目線を合わせ、如月刑事は言った。

「福山美里の働いていた製薬会社では、フグ毒の解毒薬の開発がされていた。福山美里はその薬を作る研究をしていたし、何人もの男との話も浮上している。……遺骨は全員男性だっただろ」
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