死者の闇〜最期のメッセージ〜

「……どうでもいい」

そう呟き、藍は寝返りを打つ。お腹が空いているはずなのだが、動く気力がない。いずれこのままだと餓死してしまうだろう。しかし、それを藍は望んだ。

ガチャリ、と玄関から音がする。渉たちが帰って来たのだろうか。藍は何も言わず、近づいてくる足音をぼんやりと聞いていた。

「藍ちゃん！入るわね〜」

渉でも香澄でもない声に、藍は驚いて体を起こす。襖を開けて入って来たのは、茶色の髪に派手なメイクをした女性。服装も派手だ。その声に聞き覚えがあり、藍はますます驚く。

「……美里さん？」

「当たり！」

そこにいたのは、村人である福山美里（ふくやまみさと）だった。東京の製薬会社で働いていたが、会社を辞めて東北にいる。

「前と雰囲気、違いますね」

以前大河と帰省した時は、福山美里は化粧もせずに髪もボサボサだった。しかし今は化粧をし、地味な顔立ちを隠している。

「そりゃあ、私だって女だもん！いつでもあんなダッサイ格好するわけないでしょ？」