岐阜のケーキ屋と車椅子少年。
「翔馬からか?」
「ううん。涼太君から。翔馬君が体調不良で
今日休みだったみたい。私お見舞いに行きたいけど
まだ翔馬君の家に行ったことなくて……」
村瀬君が聞いてきたので答えた。
美紀子さんに住所を聞いたら分かるかしら?
まだ何処の辺に何があるのか把握が出来ていないため
どうやって行ったらいいか分からなかった。
「なら俺が連れて行ってやろうか?
家が近所だし」
「本当!?お願いします」
良かった……村瀬君が教えてくれるなら安心だ。
思わない助っ人に感謝する。
そして学校が終わると私は、そのまま翔馬君の
自宅に向かうことにした。
祖母には、連絡をしておいた。
JR岐阜駅行きのバスに乗り名鉄岐阜駅前に降りた。
そして名鉄電車に乗った。
村瀬君は、いつもそれで帰るらしい。
しばらくして着き降りると歩きだした。
10分ぐらい歩いたところに住宅街が見えてきた。
「ほら、この家が翔馬の家。俺の住んでいる
アパートは、あっちだけど。やっぱり心配だから
俺もそのまま翔馬に会って行くわ」
「えっ?いいの?弟さん達は?」
「ちょっとぐらい待たせても大丈夫だ。
すぐそばだし……璃空も大分留守番出来るようになってきたし」
心配だからと村瀬君も翔馬君に会って行くことになった。
慣れない人の家に行くのは、どうしても緊張するため
心細かったので、正直助かった。
翔馬君の家は、古風な二階建ての一軒家だった。
庭と倉庫があり奥に畑もあった。
祖父母が畑でもやっているのだろうか?
すると畑からお爺ちゃんがこちらに向かって歩いてきた。
「おや。村瀬さんところの歩斗君じゃないか。
女の子も連れて……もしかして翔馬のお見舞いかね?」
「こんにちは。あぁ、翔馬休んだと聞いて
お見舞いに来たんだけど、翔馬居る?」
「部屋に居るよ。入って顔を覗かせておいで」
ニコッと優しく微笑む翔馬君のお祖父さん。
腰が曲がっておりシワが多いけど笑い方が少し
翔馬君に似ているように感じた。
ならと玄関のチャイムを鳴らすと翔馬君のお母さんが
玄関のドアを開けてくれた。