岐阜のケーキ屋と車椅子少年。
彼もまた頑張っている……。
電話は、国際電話だと高いからあまり出来ないけど
頻繁に手紙のやり取りをした。
フランスの修業は、毎日が大変で忙しいらしい。
でもいろんな経験をしてたくさん吸収が出来たとか
コンテストにも出して優勝したとか。
怒られることもあったけど、挫折せずに頑張れたのは、
私が居たからだとか色々話してくれた。
そして今日翔馬君が帰ってくる。日本に……。
1年ぶりの帰国だ。
少し遅れながら同じ製菓専門学校に通うことも
すでに決まっていた。
また一緒に学び一緒に居られる。
私は、急いで支度をして名古屋空港に向かった。
広い空港の中で翔馬君を探した。
どんな顔で会おう。少しは、成長したと
言ってもらえるだろうか?
いや、変わらないと言われるかもしれない。
まだ形にもなっていないし。
それでも自分の夢を話したい。聞いてもらい
一緒に、これからも頑張りたい。
翔馬君が見えてきた。CAさんに車椅子を押してもらい
こちらに向かってくる。
少し凛々しくなって見えるのは、気のせい?
でも私を見るなりニカッといつもと変わらない笑顔を
私に見せてくれた。
「よう。ただいま~菜乃」
「うん。お帰りなさい。翔馬君」
私は、嬉しさと希望を噛みしめながら
翔馬君のところに駆け出した行った……。
たくさんの苦悩もある、辛い経験もした。
でも負けずに歩んで行けたのは、この街があったからだ。
人情の街……岐阜。
あなたも一度は、行ってみませんか?
忘れない……思い出を作るために。
END。