岐阜のケーキ屋と車椅子少年。

「と、とにかく俺が案内してやるから
菜乃。覚悟しておけよ!!」

「は、はい。」

私は、思わず返事してしまった。
覚悟って……えぇっ!?
それって本当に案内してくれるってこと?
思わない誘いドキッと心臓が高鳴ってしまった。

「覚悟しておけって……それだと
デートではなくただの喧嘩じゃない」

「あ~ダメダメ。マイナス50点」

「だからデートじゃないって!!」

呆れたようにため息を吐く美紀子さん達に
ますます頬を真っ赤にさせて怒る翔馬君。
自然と笑みがこぼれた不思議とホッとした。

そして、そのことを自宅に帰ると私は、早速
祖母にバイトをやってもいいかと聞いた。
接客は、不安があるけど
あのお店でバイトしてみたいからと……。
すると祖母は、アッサリと許してくれた。

「いいじゃない。やってみなさい」

「えっ?いいの?お祖母ちゃん」

「菜乃ちゃんからやりたいと言うのなら
お祖母ちゃんは、止めたりしませんよ。
お母さんには、私から言っておくわ。
これもいい経験。やってみなさい」

アッサリし過ぎたため驚いたが
承諾してもらえて嬉しくなった。
やった……バイトが出来る!

「ありがとう……お祖母ちゃん」

「フフッ……あなたが自分から
色々とやりたくなったのは、いい方向だわ。
きっとショコラの皆さんのお陰ね」

にこやかに言うお祖母ちゃん。ショコラの皆さん……。
確かにそうかも知れない。この前まで人前に出るのも
恐怖に感じていた。
そんな私がバイトをしようとしているのだ。
何だか不思議で、でもわくわくした気持ちだった。
それが変化の現れなら私は、少しは変われるだろうか?

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