岐阜のケーキ屋と車椅子少年。
あぁ、なるほど。電子マネーか。
私は、慌ててカバンから学生証を探して祖母に渡した。
すると祖母は、私用にアユカを買ってくれた。
学生割りがあるようだ。
「ありがとう……お祖母ちゃん」
「バスが来るまでちょっと待ちましょう」
祖母は、ニコッと笑うと一緒にバスが来るのを
待っていた。その間周りを見ていると
すぐ目の前にある大きなビルに気づいた。
これは、何階建てなのだろうか?
とにかく高いビルだった。
「お祖母ちゃん。このビルは?」
「うん?あぁ、それは岐阜シティ タワー43だね。
43階建てのビルでね。中は、お店もあるけど
上の方には、マンションや展望台になっているよ!
岐阜城が見えたり景色がいいから今度
中に入ってごらん」
展望台か。凄いなぁ……。
43階建てか……東京のことを思い出すな。
東京は、高いビルが多いから珍しくないが
岐阜市には、周りにないためひときわ目立った。
私は、感心をしていると乗る予定のバスが来た。
私は、機械に買ってもらったアユカを
ピッとかざすと残高が表示された。
降りる時に支払いをすると祖母に教えてもらった。
ドアが閉まり椅子に座るとバスが走り出した。
祖母の自宅は、駅からそうかからない距離にある。
バスから降りると10分ぐらい歩いたところに
祖母の家が見えてきた。古い二階建ての一軒家だ。
「懐かしいなぁ……お祖母ちゃんの家」
母が産まれ育った家。
今は、祖父が亡くなり一人暮らしらしい。
母のお兄さん……つまり伯父さんは、
たまに顔を覗かせるらしいが1人で寂しくないのだろうか?
「お茶を淹れようかねぇ……あ、そうだ。
どうせなら少し休んだら散歩するといい。
気分転換になるわよ」
「うん……そうだね」
私は、そんな風に考えていたら
祖母が散歩をしてきたら?と言われた。
正直散歩には一瞬戸惑った。
引きこもり気味だったので、人の目線が怖い。
さっきは、珍しい物があったから大丈夫だったけど