アンティーク
玲奈さんは「え?」と言いながら、俺の顔を見る。
「そんなの、関係ないです。私は、レオくんのおかげで色々変わることができたんです。音楽とか美術とか、そんなの関係ないです。私は、レオくんだから好きなんです」
その言葉が嬉しすぎて、俺は思わず彼女の身体を抱きしめた。
「レオくん」
一瞬驚いたような仕草をした玲奈さんだったか、すぐにその腕を俺の背中に回す。
抱きしめたそのまま、俺は「彼女になってください」と伝えた。
すると彼女は「はい」と明るい声で言った。
「将生、俺、玲奈さんと付き合うことになった」
次の日大学で、昼を食べながら将生に報告する。
「おお、よかったじゃん」
「反応薄っ」
「え、だって、なんとなく分かったたし。玲奈さんがレオのこと好きなの」
「え?」
「いや、気付いてないのは本人だけだろうなと」
俺はその事実に、気が抜けてしまう。
「言ってくれればよかったのに」
「いやいや、それはダメだろ。それにもし違った時のこと考えたら絶対言えない」
「まあ、そうだよね」
「とにかく、おめでとう」
「ありがとう」
将生はふっと笑って俺の顔を見た。