アンティーク
俺はいつものように、アンティーク店で働いていた。
誰か来ないかと、扉の方を見ていると、それが開く気配がする。
すると、それが動いてその扉に付けられている鐘の音が鳴る。
「いらっしゃいませ」
だんだんと開かれていく扉を見る。
「こんにちは」
彼女が、来た。
初めてここで会った時とは比べられないほどの、太陽の様に明るい表情を浮かべて。
彼女はいつものように店内を見る。
最近、新しいアンティーク品が割と多めに入れられた。
その中にある1つのものを持ってきた。
「これ、プレゼント用でお願いします」
「はい」
それは、時計だった。
そういえば最近、彼女に時計が壊れたことを話したような……そんなことを思い浮かべる。
「こちらです」
「ありがとうございます。あと、三十分くらいですか?」
「はい」
「じゃあ、待ってます」
彼女は笑って、店内へと戻っていった。
三十分後、玲奈さんが先ほど買ったものを手に提げて待っている。
「レオくん、お誕生日、おめでとうございます」
言われて思い出す、自分の生まれた日。
「あ、そうだった。ありがとう」
「これからも、よろしくお願いします」
「こちらこそ」