アンティーク

俺はいつものように、アンティーク店で働いていた。

誰か来ないかと、扉の方を見ていると、それが開く気配がする。

すると、それが動いてその扉に付けられている鐘の音が鳴る。

「いらっしゃいませ」

だんだんと開かれていく扉を見る。

「こんにちは」

彼女が、来た。

初めてここで会った時とは比べられないほどの、太陽の様に明るい表情を浮かべて。

彼女はいつものように店内を見る。

最近、新しいアンティーク品が割と多めに入れられた。

その中にある1つのものを持ってきた。

「これ、プレゼント用でお願いします」

「はい」

それは、時計だった。

そういえば最近、彼女に時計が壊れたことを話したような……そんなことを思い浮かべる。

「こちらです」

「ありがとうございます。あと、三十分くらいですか?」

「はい」

「じゃあ、待ってます」

彼女は笑って、店内へと戻っていった。







三十分後、玲奈さんが先ほど買ったものを手に提げて待っている。

「レオくん、お誕生日、おめでとうございます」

言われて思い出す、自分の生まれた日。

「あ、そうだった。ありがとう」

「これからも、よろしくお願いします」

「こちらこそ」

< 128 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop