アンティーク
俺は、着くとさっきのお礼にと買っておいたチョコパイと頼まれた牛乳を将生に渡す。

チョコパイは、甘いもの好きな将生のお菓子の中でも一位二位を争うお菓子で、2日に一つのペースで食べているような気がする。

「ありがとう。ねえ、これ、プレゼント?」

「そう、玲奈さんに貰ったんだ。今までのお礼ですって」

将生は、置いてある紙袋を指差してそう聞いてきた。

「そう。……レオのこと好きなのかな」

「それは、ないと思うよ。」

「そ」

そう短い返事をして、渡したチョコパイの封を開ける。

すると、チョコレートとクリームの甘い香りが俺のところまで漂ってくる。

俺も食べたことがあるが、確かにチョコレートでコーティングされたそれは、美味しい。

中のクリームとチョコレートが、程よくマッチしていい甘さが口の中に広がる。

匂いだけでそれを想像してしまうが、俺はふと自分が買ってきたサンドウィッチのことを思い出して、それを食べ始めた。

将生は、どこか一点を見つめながらそのパイを食べている。

何か、考え事でもしているのだろう。

口だけをもぐもぐと動かし、将生はずっと黙っていた。
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