アンティーク
外の雨は、まだ止んでおらず、その音を響かせていた。
むしろ、先程よりもそれは強くなっていて、屋根を打ち付ける音は大きくなっている。
「俺、玲奈さんと同じくらい将生のことも好きなんだ」
自分で言っていて、歯痒く感じてしまう。
「だから、玲奈さんの笑った顔もそうだけど、将生の笑った顔も見たいんだよ」
「レオ、俺だってお前のこと大切だと思ってる。だから、…………お前のそんな顔は見たくない」
「そんな顔……?」
俺は、自分では笑っているもんだとばかり思っていた。
将生に心配を掛けないように、自分の本当の表情を仮面で隠して、その仮面は明るい表情をしていると思っていた。
店の中にある鏡に映った自分の表情を見てみると、その顔は今にも泣きそうで、自分が思っている表情とは正反対だった。
「2人とも、そんなところで立っていないでこっちでお菓子でも食べないかい?」
ちょうどいいタイミングで、店長が俺たちのところにやって来る。
もう、この2人だけの空間に息が吸えなくなりそうな感覚に陥っていた俺にとっては、本当に店長が来てくれて、声を掛けてくれて助かった。
「はい、行きます」
俺が動くと、無言で将生も動く。
テーブルには既に飲み物と甘いお菓子が用意されていて、俺たちは椅子に座った。