アンティーク
「送ったぞ」
「うん」
それを聞くと、俺は昼食を食べ始める。
今日のランチは和風ハンバーグで、おろし大根と肉のハーモニーが絶妙だ。
噛むと、肉汁と和風のソースが染み出てきてさらに美味しさが増さる。
朝から授業が詰まっている今日は、将生もあのサンドウィッチではなくて同じランチを食べていた。
「なあ、スマホ、見てみろよ」
「スマホ?」
将生に言われて見ると、メールが一件きていて、それは目の前にいる将生からだった。
「将生…………」
それを読んでいくと、あの不気味な俺は段々と消えていき、閉じた扉は徐々に開いていく。
仮面にはヒビが生えて、それは徐々に僕の顔を露わにしていく。
見えていた世界はグレーから色を戻し、そのメッセージに一粒の涙が落ちていった。
「俺が、お前の変化に分からないとでも思ったか? 友達4年目だぞ。しかも、俺にはレオくらいしか友達いないから本当にずっと一緒だったし。そんなやつの変化に気付かないわけないだろ。俺をみくびんな」
その声には、珍しく怒りの色が混ざっていた。
「ごめん…………」
「玲奈さんもレオも、同じ。俺も……か。みんな、殻に閉じこもりやすいんだよ」
「そう、だね。ていうか、将生って玲奈さんって呼んでた?」
「……どうだったかな。レオのが移ったのかも」
俺は、その将生の言葉に笑ってしまう。