アンティーク
主食や主菜などは食べ終え、将生と俺かちょうど食後のデザートにフォークを指した時、スマホが同時になる。
一旦、そのフォークを置いて、将生と顔を見合わせてそれを確認した。
玲奈さんからメッセージが来ていて、『今日、美味しいサンドウィッチ店を見つけたので一緒に行きませんか?』と記されてある。
「レオ今日予定は?」
「特にない。将生は?」
「俺、今日病院予約してるんだわ」
こんな時に、と思うものどこかでやったと思う自分もいる。
「それは残念」
「レオ、2人で行って来いって」
「いや、でも、俺と2人でも楽しくないんじゃないかな」
反論しているうちに、将生は玲奈に返信をしていて、その内容はもちろん俺のスマホにも送られてきた。
「将生」
目を細めて将生を睨む。
そんなことをしていると、玲奈さんから新しいメッセージが送られてきた。
「ほら、良かったな。まあ、味のリサーチかねてよろしく」
そこには『はい、じゃあ、レオくん、よろしくお願いします。18時に正門で』と書かれていた。
「てか、なに、玲奈さんってレオくんって呼んでるんだ?」
と、将生はにやにやしながらこっちを見てくる。
「な、なんだよ」
ふーん、と言いながら、将生は先に一口ケーキを食べる。
「いや、なんでも」
色々な色の絵の具がぐちゃぐちゃに混ざっているかのような複雑な気持ちで、そのメッセージに『うん』と返事をすると、俺はスマホをポケットにしまった。