アンティーク
「恋って、どんなものなんですか?」
玲奈さんは、俺たちに逆に質問を投げかけた。
「そうだな……って、俺も誰かと付き合ったこととかないし、よく分からないな」
と、将生が言い終わった時「あ、ここです」と会話を中断させる玲奈さんの声が響く。
「あ、ここ。一回入ってみようと思ってなかなか来れなかったところだ」
将生はサンドウィッチ好きだけあって知っているようだ。
「そうなんですね。知ってるなんて、流石将生さんです」
「絶対美味しいよ。だって玲奈さんのおすすめの店なんだし」
「そんな、私なんてサンドウィッチ初心者ですし」
彼女は首を横に振っていて、その動作はまるで犬のようだ。
「ははっ、初心者って。将生以外はきっとそうだから安心して」
「なんだよ俺以外って」
「だって、そうだろ?」
将生は「ったく」と言いながらも、その雰囲気はいつもよりも柔らかいもので、誰よりも先にその店の中に入って行く。
中に入ると、左半分がレストランの様になっており、そこで食事ができるようだ。
「ここで食べていきますか?」
「うん。将生ももちろんだろ?」
「ああ」
せっかく来たのだから、ゆっくりとそれを味わいたい。
先に席を決めて、あとは一人一人好きなようにサンドウィッチを選ぶことにした。