アンティーク
恋の自覚
レオさんの話を聞いて、私は自分が誰が好きなのかをなんとなくだけれど分かった気がする。
その人の笑顔を見ていたくて、一緒に笑っていたくて……。
私の場合、無意識にそこに行ってしまう。
「ところで、どうですか? ここのサンドウィッチ」
「俺はすごい好きだな」
サンドウィッチに対する『好き』なのに、それをまるで自分に対して言われているような気持ちになって、勝手に恥ずかしくなる。
その笑顔は、私にいつもプラスな何かをくれる。
「うん、俺も。普通に美味しい」
もし、私の恋に最大のライバルがいるとするなら……それは、サンドウィッチとアンティークが好きな彼の友達、かもしれない。
「良かったです。お口に合わなかったらどうしようかと」
「そんな心配、要らないよ」
急に、いつもよりさらに増してその笑顔がまるでダイヤモンドのように輝いて見えて、恋を自覚してしまった私には刺激が強い。
「今度は俺と将生が何か美味しいお店探さないとね」
「そんな、大丈夫ですよ」
「いいのいいの、レオって暇だから」
レオくんの言葉に、ぼーとっしてるように見えた将生さんがすぐに反応する。
「ひどいなそんな言い方。ったく人のことなんだと思ってるんだか」
「友達だよ、大切な友達」
「あっそ」
将生さんの態度は素っ気ないけど、なんとなく嬉しそうに見えた。
2人の間にはきっと誰にも入ることのできない強い絆がある。