クリスマスの想い出
5時。

駅前はクリスマスムードで満ちていて、人も多い。

なんとか雪が降らないまま保っている曇天の下、俺は1人で桃花を待っていた。

「天くん!」
「桃花。」
「遅れてごめんねっ!」
「いや、今きたばっかだけど…」

ふわっと髪の毛を巻いて、寒そうに少し大きなコートを着ている桃花は、俺の知っている桃花で、俺の知らない桃花だ。

桃花に久しぶりに会ったのに、そこまでテンションが上がるわけでもない。

「じゃあ、行こっか。」
「うん、そうだな。」

俺は桃花と手を繋いで歩き出した。

それから1時間。
そろそろツリーのライトアップの時間となった。

なんとか保っている空は、今にも雪が降り出しそうで。
俺は桃花とツリーの下でツリーを眺める。
冷たい澄んだ空気に、ツリーの鮮やかな飾りは、とても映えた。

そして。

「あっ!」
「おお、ついたな。」

ツリーはライトアップされ、豆電球1つ1つに明かりが灯った。
ツリーはより一層、輝きを増し、クリスマスムードを高める。
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