クリスマスの想い出
言ってから、やっと気づいた。

自分が、桃花と別れたことがショックで、悲しいって。
そして、その思いを消そうとしていること。

「…まあ、そこはお前に付き合ってくれてた彼女ちゃんに感謝するべきじゃない?」
「あのさぁ!!今、この流れでそれ言う?!」
「あはは。私は慰めの言葉をかけるような人間じゃないわ。」

……本当にぶれないな、こいつは。
芯が強すぎだろ。
折っても折っても復活するタイプだ、これ。

「でも、」
「でも?」
「辛いのに、無理する必要だけは無いと思う。辛いなら、泣けばいいじゃない。」

そう言って信条は微笑んだ。

今まで、俺に見せなかった、隠れていた信条の優しい部分。
少し不器用だけど、その分ストレートな優しさ。

その優しさは、傷ついた心に優しく響いてきた。

そして、俺はそんな信条の、優しい表情に、


恋をしたんだ。
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