Little Gang

翌日・・・。

ぼけーっとしたまま、1階に降りてくと、素顔を晒した狐さんとココア飲んでる兄さん・・・。

そのまま兄さんの単車でバイト先まで送ってもらった。

キキィッーーーー。


『兄さん、アリガト』


「顔が言葉を裏切ってるぞ? まったく嬉しそうじゃない」

お店の前に車を止めて、兄さんはエンジンのかかったバイクに跨ったまま、仏頂面で言った。


『これでも・・・感謝してるんだよ?』


私はヒラリとバイクから降りた。


「まあ、いい。 何時にシフト上がれる? 迎えを寄越す」


『ハイハイ・・・21時・・・』


「てめぇ・・・ユリ・・・」


『女漁り頑張って〜ッ』


「そうだッ。 西郷兄弟がここにお忍びでくるって噂だぞ?」


『西郷兄弟? なんで? 敵情視察?』


「馬鹿か!! 奪還しにだよ?」


『うそん? 西郷兄弟が? でも、見かけないよ?』


「変装術に長けて演技指導はお手のものなスペシャリストがいるって話だぞ? 情報をリークした内通者も共犯じゃねーか?」

『そうだね? でも条件次第では取引してあげてもいいし・・・』


「たまにはかまってやれよ?」


『うんッ、いってきます』


「ああ。 ほどほどにな」


兄さんはマフラーを私の首に巻いて、仕事に行った。

走り去る兄さんに手を振り見送る・・・。

わっ・・・。

何? このギャラリー軍団・・・。

女子はキャーキャーと、男子は敬礼してる。

見た目はイイからね・・・。

視線が煩くて足早でお店に向かった。


『おはよ』


3人揃って「おはよう」と返ってきた。


「また派手な登場だったね?」


「さっきの兄貴でしょ?」


『うんッ』


「なんであの人に送ってもらってんの?」


『ん〜? 実は私、電車の乗り換え苦手で、トドメに方向音痴だから付き添いが必要なの』


「方向音痴ぃ?」


みんなの声が大きく重なって、


「マジで? 方向音痴なのか? 大丈夫?」


「今度から送迎しようか? どうする?」


え? いやいやいや・・・送り迎えって子供じゃないんだし・・・。


「兄貴、方向音痴仲間できてよかったね」


いつ来たのか西郷兄弟までいて笑い転げてた。


『開店前なのでお引き取り願えますかね? 西郷兄弟様・・・?』


「じゃ・・・なんで看板がOPENになってんの?」


『それはさ? 片付けが忙しくてついCLOSEに下げるの忘れちゃってたのッ。 んで、いつもOPENになってるだけ。 兄さんは過保護だし・・・シスコンなんだよね』


もう・・・わかった?

みんなに説明して、フンと鼻を鳴らした。
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