Little Gang

「優しいだの可愛いだの、好き勝手言いやがって・・・うぜぇ」


『心からそう思ってるのにッ』


しゅーんと項垂れる。

ま、もちろん、嘘泣きのオプション付きで。

するとシン先輩は案の定・・・、


「あ!? なんでそんな顔してんだよ。べ、別に、嬉しくねぇとは言ってねぇだろ!?」


怒りながら白状するシン先輩。

みなさーん、今の聞きましたか〜?

嬉しいだって〜♪

もう、ツンデレなんだから♡♡


『ありがとう。いやー愛されてるなー、家政婦の染谷ユリは・・・』


「は?」


『心配しないで。 この程度の暴力は痛くも痒くもない、から』


大丈夫とピースサインを掲げれば、シンさんの表情がますます歪んだ。


「ったく、お前ってヤツは頑固だよな。 泣き喚いて縋れば楽になれるのによ。 俺よりも、バカで強情だ」


そんなことを言ってるシンさんの方が、今にも泣き出しそうな顔をしてた。


「とにかく・・・注文決まったら呼べよ」


と先輩はメニューを押し付ける。


『じゃ、準備してくるね』


「ユリお姉様のオススメは?」


「ごちになります」


ほほぅ・・・さすが西郷兄弟・・・遠慮がない・・・。


「ユリさん・・・後でね・・」


ユウタママはそう言って、私の頭をやさしくポンポンしてメニューを広げた。

カランカランという鈴の音と、


「いらっしゃいませ」


「お好きなお席へどうぞ」


という声に笑顔で出迎えて、のろのろとスタッフ控え室へ足を進めた。
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