Little Gang

「ねぇ・・・ユリッ。 まだいるよ? 閉店まであの席を陣取る気?」


『営業妨害・・・一発沈めとく?』


「ユリ、迷惑客はほっとけ」


笑顔満開の先輩が言った。


『なんで?手荒な真似はしないよ?』


「はぁ〜ユリちゃん・・・誰かなんとか言ってあげてよ?』


大げさにみんながため息を吐く。


「無理だな・・・ユリだし・・・」


ユリだしって・・・泣きますよ? 先輩・・・。


「ユリ? 今日はまかない、オムライスよね?」


『うんッ。 お金は払うからみんなのまかないもお願いしていい? ふわとろね』


「そういや家出した自動掃除機はどうなった?」


「へ? 家出って? 洗濯以外にもやらかしたの?」


「それがさ〜なんか、ユリが玄関を開けっ放しにしてたら家出しちゃってそれから家に帰ってこなくなったらしくてさ〜」


「ホントなのッ? ユリ?」


後輩が怖い顔して私の肩をゆさゆさと揺さぶる。


『うん・・・ホント』


「玄関はちゃんと閉めなさいよ? 世の中物騒なんだから戸締りには気をつけなきゃダメでしょ? 泥棒が入ったらどうするのよッ?」


『はい、すみません。 だって機械類がダメなんだから仕方ないじゃん? 兄さんにはアナログ人間って言われたけどね』


「機械オンチっていうより・・・生活オンチなんじゃないかな・・・」


『いいの、仕事以外のことは無頓着だしッ! 生活に頭を使いたくないよ。 あそこでは一瞬の気の迷いも命取りになる』


「ユリ・・・あそこでは命取りって、普段どんな生活してるの?」


牢獄生活だけど?

主に武器の密輸や管理が私の仕事。


『兄さんに激愛されてる?』


「ソウデスカッ」


思いっきりみんなの顔が引き攣った。

なんで? なんで、可哀想な子を見るような目で見てくるの?
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