Little Gang
ーーーバキッ!!

口の中に血の味が広がる。

そこからはもう地獄だった。

頬を殴り飛ばされ、腹を蹴られ、床に叩きつけられた。

まだお店に残ってた先輩達は唖然として一歩も動けずに見てた。

私が倒れたまま動きそうにないから、兄さんはしゃがんで髪を掴んで無理やり顔を上げさせた。


『・・・うっ・・・』


「意識はあるみたいだな? そう簡単に死なれたら困る。 これでも手加減してるんだ。 お前をすぐ殺すつもりはないし」


『え?』


「徹底的に、これでもかってほどの絶望を味わわせて、・・・殺してやるよ」


『・・・・っ』


ゾッとするほどの冷酷な眼差しに射抜かれ、反射的に身震いする。


「西郷兄弟は危険分子だ。 あの男も操り人形にエラーを起こしたから排除したまで」


『・・・させないッ』


ポケットにある護身具のナイフを取り出す前に、驚くほどの速さで手首を掴まれた。


「女がこんな物騒なもの持ってちゃダメだろ。 それより・・・これやる」


『は、離して・・・!』


抵抗しようとしても、びくともしない。

それどころか兄さんは、毒々しい液体を口移しで飲ませてきた。


『!? これ、は・・・』


身体の奥が疼く感覚に、嫌でも兄さんに女にされた情事を思い出す。


「今度は毒じゃなくて、媚薬だよ」


『媚薬!?』


兄さんが掴んでいた髪を離した隙に思い切り突き飛ばし、胸に手をやる。

・・・・ッ

あの痺れるような快楽の波と似てる・・・。

兄さんの言葉に嘘がないなら男の人に触れられるのも危険だ。

熱く興奮した身体に抗う術がない。

唇を噛み締めてないと、甘い声が洩れそう。
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