Little Gang
兄さんとは幼少より確執があり、また兄さんが極度のシスコンなこともあって仲が悪い。

それでも・・・。

兄さんの一番の理解者であり、彼に対して抱く感情の全てが増悪や嫌悪というわけではない。

自分の価値観やRoseliaに囚われてばかりいたら見たいものも見えなくなるよ。

他者との関わりを遮断する鎧は、人を傷つける武器は、生きるのに必要ない荷物。

人の優しさや温かさに触れるべきだ。

そろそろ妹離れする頃合いだと思う。

そんな思いを抱き、兄さんを見つめる。


『みんなのいるこの世界は、本当に純白で綺麗なんだよ。 素敵な音楽がたくさんある』


バイクいじりするお金の無駄遣いするくらいなら世界を旅して来なよ? そう言って笑うと明らかに不機嫌・・・。


「チッ・・・ユリッ、初めてお前に失望したよ」


兄さんは舌打ちしながら私の顔を覗き込んでくる。


『分からず屋』


「は・・・んでだよ?」


兄さんッ、眉間に皺が寄ってるし・・・。


『私とバイク以外で好きなものは?』


「ない」


なんでそこで自慢げなんだ?


『夢は?』


「白い家に、奥さんと犬と子供と暮らしたい。 ・・・何? 悪い?」


『んーん。 奥さんって私じゃないよね?』


「ご名答」


ご機嫌な顔で笑う兄さんは、お店の中をぐるりと見回した。


「あ・・・お前らまだいたの? 解散」


西郷兄弟と先輩達に、兄さんは非情な一言を残して珈琲店を去っていった。
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