Little Gang
『・・・はぁ・・・』
乱れた息と衣服を整えた後。
私は冷蔵庫の残り物で料理を完成させ、慣れた手つきで食卓に並べてた。
その傍らで、台本に目を通すユウタさんをちらりと見上げる。
『明日はゆっくりできるの?』
「もちろん・・・って言いたいところなんだけどね。 明日も仕事が入ってるんだ。今日は来年から始まるドラマの打ち合わせで、明日は早朝から次の公演の下見」
『昼もまともに食べる時間ないもんね。 ちゃんと休めてる?』
「うん、君のおかげで息抜きできたよ。 癒してもらっちゃったからね」
『・・・・・』
コメントに困って無言で食卓につき、フォークとお皿を手渡す。
ほのかに白ワインが香る、あさりをふんだんに使ったボンゴレビアンコを巻いて、ユウタさんは舌鼓を打ってくれた。
「ん、美味しい・・・! 料理の腕上がったね」
『よかった。 塩加減は大丈夫? だいたい目分量なんだけど・・・』
「もうちょっと濃くても大丈夫かな。 それと・・・毎日美味しい食事をありがとう・・・」
『お粗末さまです』
ユウタさんは本当に幸せそうにパスタを食べてくれると思う。
パセリをかけたガーリックトーストを頬張るユウタさんを眺め、私はホッとしながら目を細めた。
「・・・今からするのは独り言だからさ。 軽く聞き流しちゃってよ」
『うん』
「俺のコンプレックスも影響してるからさ? 二人だけの秘密ね?」
『うん。 口は固いから安心して』
そう言うとユウタさんは安心したらしく、静かに話し始めた。