Little Gang
噂の西郷兄弟
東奔西走 探し人
高校1年、9月。
紫苑学園に入学してから1週間。
友達もできて平穏な生活を送ってる。
兄さんの独占欲が激しいおかげで女子中に通っていたから男女共学はとっても新鮮!!
西郷兄弟はいい意味でCMやドラマに引っ張りだこで仕事が忙しいらしく、学校に行けてない日が続いている。
早く挨拶したいな、うまくやれるといいな。
高級住宅地にある西郷家はもぬけの殻で、家政婦を歓迎してくれる人もいない。
さすがの私でも勝手に部屋に入るのはどうかと思ったので、リビングとか洗面所とか差し障りのない場所を掃除している。
わくわくと毎日胸を躍らせていた。
それから夢も叶えるんだ。
私は小さい頃からアニソンが好きだった。
テレビにかじりついては踊りを真似て、兄さんは手拍子しながらノリノリだった。
ロックもよく聴くから、イントロで何の曲か当てられる自信もある。
自慢じゃないが、バラードもロック口調もいけるから、歌のバリエーションも豊富だ。
歴代の総長やお姫様がいうには、私は自然と人の懐に入ってしまうような独特な空気を持っているらしい。
だけど上辺だけの・・・その場限りな薄っぺらい人間関係だった・・・。
中学の時、先輩や兄さんのことを知ってる人はたくさんいた。
みんなにこにこ笑ってたけど・・・いつもRoseliaの姫、兄さんの妹。
私の顔色を伺って言葉を選んでいた気がする。
紫苑ではたぶん私の内情を知る人はいないはず・・・。
Roseliaや兄さんの呪縛から解放され、私はようやく本当の自由を手に入れた。
心は麻痺したままだけど、仲間の大切が身に染みてわかる。
仲間は一生の宝。
かけがえのない、家族のような存在。
離れても心は繋がってる。
同じ空の下にいるから淋しくないよ・・・。