Little Gang
一方的に切られた電話。
「くそっ、サキの奴・・・」
ーーードンッ!!
シンさんは壁を思いっきり殴って、そのままズルズルとしゃがみ込んだ。
どうしよう・・・彼女さんのせいでシンさんが・・・アクヤク二サレル・・・。
迫害されるのは想像以上にキツいんだよ?
“別れてくれ”って言ってる今でさえ酷い顔だ。
このまま彼女に主導権を握られたままだと、シンさんは本当に人形みたいに空っぽになる・・・。
どうしたら、いいんだろう・・・。
「ユリ、どうした?」
何も答えられない。
どうしていいか、わからない・・・。
「あー、サキは俺の(自称)彼女なんだよ」
フルフルと首を横に振るしかできない。
彼女なら大切にしてよッ。
「・・・俺も似たような境遇で育ったとは言ったけどよ、実妹に性的虐待するあの男に比べたらDV女なんて可愛いもんだ。
ちょっとした痴話喧嘩っつーか・・・灰皿で殴られたり、包丁で刺されたり、煙草の火を押し付けられるくらいで・・・。
愛してはやれないけど、俺が傍にいないと情緒不安定になるからな。
それに、フリとは言っても狂った彼女を止めるのは彼氏の役目だろ?
あの雌豚の本性に気づきもしないで純粋な好意だと信じた俺も大バカ野郎ってわけだ。
ーーーけど、そんなのお前には関係ない。
誤解されて困る相手もいないしな。
問題ないはずだ。
なのに、なんでだ? 」
『し、シンさん・・・?』
様子がおかしい。
いつもの飄々とした笑みは消え、なにかに憑かれたような独り言を呟いてる。
そして、シンさんは呆然とした表情で俯いた。