Little Gang
すごい足音が鳴り響いてきた。
ダンッと2〜3階に続く階段から、息を切らしたヒロトさん、ユウタさん、ルナさん、シュウさん、ハルカくんが飛び降りてきた。
シンさんは、はじかれたように顔を上げる。
「なんで、泣いてんの? ユリ」
そう言うや否や、手首を捕まれ・・・。
「っ!?」
気づけば、私は壁際に追い込まれた。
『あ、あの・・・?』
「何された・・・」
シュウさんは、いつもの笑みを浮かべてない。
息がかかるほど顔を寄せられ、逃げようとしたけど・・・。
「・・・っ」
手首を握る力が強まり、身体が少しも動かせない。
そうこうしてる間にもシンさんはルナさんに顔面を殴られてて・・・。
『シュウさ・・・』
「お願いされて、逃がすと思う? そんなに俺っていい人だっけ?」
ドカッ!!
人を蹴る鈍い音が鼓膜を震わせる。
違う・・・シンさんが悪いんじゃない・・・私が勝手に泣いてるだけ・・・。
「話せ・・・」
怒りを含んだシュウさんの声に言葉が詰まる。
だけど・・・このままじゃ、シンさんの所為になる・・・。
ちゃんと、言わなきゃ・・・。
『シュウ、さん・・・何もされてないの・・・シンさんに酷いことしないで』
それだけ、なんとか口にできた。
でもまだ伝えなきゃいけないことがある。じゃないとみんなに迷惑かける。
シュウさんに無言の圧力をかける。
シュウさんは手を離す代わりに小刻みに震える私の肩を抱き、シンさんに手を差し出した。
グイッと引っ張られる勢いのままにふらりと立ち上がる・・・。
「大丈夫だよ。 痛くも痒くもねえ・・・」
私は唇を切ったのか痛々しい痕が幾つもあるシンさんに驚いたけど、その優しい表情とその声のおかげで安心して落ち着けた。
涙を拭って、みんなに申し訳ない気持ちでいっぱいなことを、なんとか伝える。
「ユリさん、家に帰ろうか?」
穏やかに微笑むユウタママが言った。