Little Gang
「行くぞ・・・」
ヒロトさんの声がして私はひょいと担がれた・・・。
ぼーっとしたままヒロトさんに連れていかれた私は、気づけば家の屋根裏、自室にいた。
涙も止まりすっかり落ち着いてみると、自分の置かれた状態に戸惑う。
『ん〜?』
私はヒロトさんに抱かれたまんま・・・ヒロトさんの座るこの席は・・・優しいお日様の匂いがするふかふかのベッド・・・私はその膝の上、いやいやいやッ、ダメっしょ?
安心させるためというより、むしろ私を逃がさないためのシートベルトなのでは・・・。
彼女ならまだしもッ!!
あたふたとその膝から飛び降りようと試みる。
ポカッーーー。
いたぁ・・・ヒロトさんがチョップしてきた・・・。
我慢しよう・・・今は我慢しよう・・・うん。
ベッドサイドの脇に置かれた黒猫のクッションに顔を埋めた。
「ユリさん、落ち着いたみたいだし、少し話をしようか」
ユウタママが微笑みながら言った。
「染谷さん、顔見せて」
机に頬杖をつくハルカくんの声に顔半分だけを隠してたクッションを腕に抱えた。
「ユリ、お前はどうしたい?」
シュウさんが珍しく真面目な顔で私の顔を覗き込んで、
「“ここ”で家政婦を続ける? それとも人形として虐げられる生活を送る?」
「自分より人のことを考える癖は直せ」
「ユリお姉様? あの男のためではなく、自分の望むとおりのことをしてほしい」
『どうして?』
みんな、次々に話してくれるけど・・・なにそれ意味不明。
「俺達は共通して、ぬくぬくと育った温室育ちを軽蔑してる。 生きることの大切さや過酷さを身に持って知ってるからな」
シンさんの言葉にこくりとうなずいた。