Little Gang

「だからユリさんのこともね? 財産目当てに近づいた女の1人に過ぎなかったんだ」


え・・・? 財産目当て?



「つまりね、家に招き入れたのは今の暮らしがどれだけ恵まれてるかってことを、平和ボケしてる頭に叩き込むためなんだよ」


叩き込む・・・って?


「だからさ? 何も聞かされてないのは嘘、君の父さんの親戚は僕たち西郷家だし、桜場には不吉な噂が絶えず囁かれてたから。 いわくつきの噂の中には【スクールカーストの呪い】というのもあったね。 何でもいじめが原因で自殺した女の子の死が火種となったのか、スクールカーストの上位層にいる生徒が次々に襲われたらしいよ」

ハルカくんが、黒猫がいるところに事件あり・・・怖い怖いと笑う。


「そんな奴に愛情を芽生えさせろなんて父さんのバカヤロー!と苛立ったわけよ。 愛を知らない俺達に頼るとかお門違いだってな」

シュウさんは「だろ?」・・・と私を覗き込む。


「けど迷い込んだ不吉な黒猫は、見た目に反してしっかりしてるのにどこか不安定で・・・」


ルナさんも・・・。


「完璧なはずなのに放っておけねえ」


シンさん・・・。


「結果、みんなユリさんのまっすぐで、ひとりひとりときちんと向き合おうとする温かさと優しさに惹かれたってわけ。 人として大事なものも愛情も君が教えてくれたんだよ? だからユリさんの素敵な笑顔を守るのが騎士の役目なんだよ」


ユウタさん・・・ありがとう・・・。

みんな私にちゃんと向き合おうとしてくれてる。

私がちゃんと幸せを願えるように・・・。

私・・・ここにいてもいいの・・・かな?


「13年前の借りを返したい・・・今度は俺が、あんたの心を取り戻してやるよ」


ヒロトさんが最後にビシッと決める。

やっぱり長男・・・うちの兄さんよりも、ずっと頼り甲斐のあるお兄ちゃんだなあ・・・。
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