Little Gang

心が読める目


室内に重い空気が流れる。

とても・・・とても・・・重い空気が・・・。


「ユリ・・・どういうことだ・・・」


狼・・・怖すぎる・・・。


「俺はお前に生きてほしいんだよッ」


ドンッ。

シンさんが拳を叩きつけたテーブルから亀裂が走り次の瞬間には木っ端微塵になる。

なんて・・・言えばいいんだろ?

なんで? シンさんこんなに怒ってるの?

困惑しながらユウタママに助けを求めた。


「シン、そうやって物に当たるのはやめろ。 ユリさんのことだし、何か当てがあるのかも」


「ああ・・・」


とりなすように言ってくれるユウタママの目も少し荒っぽい口調も、いつもより厳しい。


「染谷さん、教えて?」


真剣なまなざしのハルカくんに言われて、そっと疼く右目に手を当てた。


『うん・・・でもね、決断できないの。 抗争を未然に防ぐか、西郷兄弟を手放すかのどちらかを選択するなんて、できなくて・・・』


「決断できないってことは・・・あれか?」


「ああ・・・だから何だよ・・・俺はアンタの代わりに選択してやれない・・・」


「ユリ・・・責任を放棄するのか?」


シュウさんの目が見たことがないくらいに鋭い。


『ごめんね』


「誰にも渡さねえ」


ギュウッーーーー。

フワッとシンさんの香りが私を包み込む・・・。

後ろからシンさんに抱きしめられて、私は逃げ道を塞がれてしまった。

どうしたの? なんでそんなに震えてるの?

みんな・・・何かに怯えてる・・・泣き顔・・・激レア・・・。


『どうして・・・?』


「ユリさん・・・俺達みんなの今の家族は君と、手のかかる兄弟だから」


『うん・・・』


「また悲劇を繰り返すつもり?」


『ヤだよ・・・』

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