Little Gang
『兄さんのこと忘れさせてよッ、刺青なんか・・・消し炭にし・・・』
「やめろッ。 もういい、わかったから・・・」
乱暴にヒロトさんがライターを取り上げた。
・・・・・・・・
沈黙が流れた・・・。
ライターを奪い合う際に包帯が解けた所為で、私の手首はあらわになってる。
そこにはリストカットの痕。
みんなが手首が見つめてる。
私は訳がわからなくて、ただ泣いていた・・・。
「やっぱり、自殺願望あるじゃねえかッ。 虐められるのが好きとか変態野郎だぞッ」
シンさんが吐き捨てるように言う。
「ユリ・・・自分を大切にしてくれ・・・」
みんな傷ついたような顔をしてる。
どういうこと?
変態野郎って・・・私?
『右目だけじゃダメだから・・・身体に傷がたくさんついてたら・・・ポチにもミケにも商品にならないからってだけで・・・』
みんなの厳しい視線が突き刺さる。
「待って? よく見てみなよ。 これ父さんの目の模様に似てる」
いきなり大声を出したハルカくんの言葉に、声にならないあの空気・・・。
「これ、スゴい・・・ユリの花かな・・・」
ハルカくんが声を少し震わせる。
それに引き寄せられたみたいにみんなも私の右目に眠る花を見つめてる・・・。
「マジだ・・・カッケー・・・」
「なんか・・・光ってる・・・」
「それに腰には痣があったよ。俺らのアネモネの痣と同じ痣がついたアネモネなんだ・・・」
「色は違いますけどね」
みんなが私の目元まで近づいて話すから、恥ずかしくなってきた。