Little Gang

「お前、コイツらに道案内してきたのか?」


この人は1番副隊長の南雲さんだ。


『あれ? 確かに私、案内してる? え? こわ・・・なにこれ? 事件じゃないですか!』


幹部のみんなに包囲される。

見張り役の迅速な対応はさすがだ。

南雲さん・・・。

兄さんの護衛はいいの?

勝手に持ち場を離れたら怒られるよ・・・。

人の心配より自分の心配した方がいいか・・・。


「おかしいだろその反応! 誰がどう見ても敵に寝返ってるじゃねーか!!」


「そうだぞ! そもそもセキリュティ妨害してんのも狐野郎だろうしよー!」


あーもー、キーキー騒ぐなサル共ッ!!

こちとら耳が敏感なんですぅ。

鼓膜が破れたら責任取ってくださいよー。

慰謝料払ってもらうよ。

・・・うん、慰謝料ってなんだっけ?


『それはそうなんですが・・・パニックになって正常な判断能力がなかったと言いますか・・・』


むむむッ。

うーん。

うーーーーーーむ・・・。

泣き虫を発揮する非常事態かも・・・。 ルナさんを見習って嘘泣きしよう。


『道案内しなかったら殺すって脅されたの。 私がみんなに何て呼ばれてるか知ってます? 家畜とかチチナシとか・・・エム猫ちゃんとか雌豚とか・・・泣く子も黙るとはまさにこのことだとは思いませんか!? 父さんの仇を取りに来たんですよ! 多分、きっとそうに違いありませんッ』


ぶっ!!!

・・・盛大に吹き出した。

ここで笑うと変に思われるから、みんなは必死に口を押さえて笑いを耐えてる。


『出るとこ出たら、アレですよ。 裁判とかで勝てますよね、私』


「新しい飼い主にも恵まれないのか・・・今回だけ特別に許してやるよ・・・」


南雲さんの声がやさしく響く・・・。

幹部のみんなも他のみんなもうなずいてくれてる。

嘘泣き作成大成功☆

私ちゃんと帰ってきたよ・・・。


南雲さんに言うと、


「ああ・・・イイ子だ・・・」


と腕を広げてくれた。

南雲さんの腕の中に収まると、


「他の男の匂いがする・・・」


私の肩に顔を埋めた。

クンクン・・・。


後ろを振り向いたらダメな気がする・・・。

痛い・・・野獣の「離れろバカ」ビーム・・・私モテ期到来だったりして・・・。


『・・・解散?・・・』


私の言葉で各自配置に散った。
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