Little Gang
ドカンッ!

凄まじい爆風が私の髪を攫っていく。

ゴウゴウという地鳴りが響く。

出入口は、いちばん最初に爆破されて埋もれてるはず。 知ってる限りの隠し通路も、全て最初に塞いだ。

アジトからは、誰も脱出できない。

・・・野獣を除いて。

ドカンッ!!!

ダメ押しの2発目。

地鳴りと爆発音が、立て続けに起こる。

計算通りだ。

・・・これは、破滅が始まる音。

名前のない怪物と悪魔を知る人は誰もいなくなったし、Roseliaの亡霊はここで沈む。


『Check Mate』


脱出路を断たれ、崩壊するアジトに閉じ込められてパニックに陥る幹部や下っぱ達を見下ろし、私はただ声を上げて笑い・・・崩れ落ちた。


「参った」


兄さんも、口元に笑みを浮かべながら座ったままの私を抱き留めた。

逃げ惑う人間。

なんとか逃げ出そうとして、通路の先に配備しておいた自動銃に撃たれる人間。

瓦礫に押しつぶされる人間。

終わりを悟って祈る人間。

・・・・・・

どのくらいそうしていたのだろう。

悲鳴が聞こえなくなってから、私は兄さんを突き飛ばした。

素早く銃を握り直す。

終着点の、幕を下ろすために。


『えへへ・・・先に地獄で待ってるね』


西郷兄弟との出逢いは、間違ったものだった。

交わることすら許されない平行線の道。

正解の方ならきっと出逢えなかったと思う。

でも、もしかしたら。

ここではない、別の世界なら。

西郷兄弟とも家族になって共に過ごせる日々が存在するのかもしれない。

・・・だと、いいな。

そんな、夢物語のような妄想に笑いかけて、今度は自分のこめかみに銃口を向けた。

引き金に掛けた指に力を込める。

バンッ!

・・・やっぱり、指が震えることはなかった。
< 168 / 171 >

この作品をシェア

pagetop