Little Gang

『ごめんね。 シュウさんも不安だよね』


「は? なに、いきなり・・・」


『アイジさんが逝って、憂さ晴らしのためか悪い人達とつるむようになって・・・愛人の私が何の相談もなく家政婦面して“ここ”にいる』


葬式にも来なかったくせにと哀れ憎み、強い憤りを感じてるはず。

気持ちを踏み躙られたような気分だろう。

門前払いされても文句は言えない。

・・・それがどうだろう?

大迷惑と嫌そうな顔をしながらも、愛人の私に情けをかけた。

“出ていけ”、“帰れ”と・・・。

使えない家政婦を追い出すことはせず、渋々ながらもこの家に招き入れてくれた。

張り切って作りすぎた料理やスイーツだって残さず綺麗に食べてくれたんだ。


『シュウさんだって不安に決まってるのに、私は気の利いた言葉も言えなくて、シンさんのことも外見で判断して、どう考えてるか気にかけてあげられなかった』


「・・・・今さらでしょ」


『うん、そうだよね。 本当に今さら・・・調子がいいって思ってる』


「だったら、」


身を引けって?

遠回しに警告してるつもり?

残念・・・私は頑固だから自分を変えたりしないよ。

向き合いたいという私の考えは変わらない。

そこはわかってもらわないと・・・ね?


『でも今だからこそ、みんなとちゃんと向き合いたいの』


ハッとしたように顔を上げるシュウさん。


『私はみんなの手を血に染めたくない』


温情でも同情でもなく、私にはみんなの哀しみが理解できる。

私は兄さんの心を守れなかった己を悔いてる。

存在証明を失い、この世界に絶望している。

兄弟たちに殺されれば免罪符になるよね。

アイジさんの死の真相に触れて殺意に変わるその瞬間。 皮肉にも生かされた私の死をもって初めて、あの人への悔やみの手向け花になる。

それが私の望み。
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