Little Gang
・・・が、男はそれを予測していたのか、銃を持っている私の右手を撃った。
“・・・・・ッ”
私の手から銃が滑り落ちた。
痛みで顔を歪ませる私の前に、男子大生は目線を合わせるようにしゃがみ込む。
“ーーー俺と一緒に来い。 暴力で訴えても誰も耳を貸してくれないよ。兄さんには吐き出せない黒い感情をその美声で世界に吠えればいい”
そう言って男子大生は、私の顔についた返り血を指で拭うと、獣のように舌なめずりする。
私は衝動を抑え込むように息を吸う・・・白い虎だ・・・と思った。
月明かりに照らされた彼は、まるで、月の化身みたい。
どこの誰かも知らないけど、そのやさしい微笑みに私は、彼の手を取った。
しばらく猫のように身を寄せた私を彼は何も聞かずに抱きしめてくれた。
少しして爆音と共に私のお迎えが現れた。
男子大生は、兄さんには見えないように名刺を渡すと・・・・不機嫌オーラ全開の兄さんに、愛想のいい顔をしたっけ。
“俺は西郷アイジ。 怪しい者じゃないから安心してよ”
それが、アイジさんとの出逢い。