Little Gang

『・・・私は、銃がダメなの』


沈黙に耐えかねて、私は口を開いた。


『認めたくないけど、多分、トラウマ・・・って奴だと思う』


一瞬だけ、憂いを瞳に浮かべる。

だがそれはすぐに自嘲の笑みへと変わった。


『本当は、見るのも嫌なの。 誰かが持ってるのも』


デスクの上を見ていると、殺傷能力の高い銃が目に入った。

シンプルなデスクの上で、これだけが異質な存在感を放ってる。


『でもね、自分でも銃は携帯してる。 護身用の武器も隠し持ってるよ』


愛する人が、撃たれて死んだ。

・・・私の目の前で、私に手を伸ばして。

アイジさんは巻き込まれただけ。

休暇中の逢瀬で、運悪く・・・。

今でも、あの日のことは忘れられない。


『まさか神経質な君が他人の手料理を口にするとは思ってなかったけどね』


四六時中命狙われてるくらい徹底して他人の行動を随一監視してるからさ・・・。

脳裏に浮かんだのは、私が家政婦として初めて手料理を振舞った時のことだ。

ただただ純粋に野次馬根性で気になって様子を見に来たヒロトさん達とは違い、ルナさんは不穏な動きをしないか注意深く気を配ってた。

それはもう長年身体に染み付いた悪い癖だと本人も自覚はしているだろう。

所謂、職業病。

住む世界の違いを垣間見た気分だった。
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