Little Gang
「・・・お前。 なんで僕を撃たなかった」
『殺せば勝ちなんてルールなかったでしょう? 私は君から武器を奪っただけ』
当然じゃない、と明るい笑い声が陽が差し込んで明るい部屋に響く。
「他に武器を隠し持ってたら、どうするつもりだったんです?」
『・・・あのさ、ルナさん。 逆に聞くけど、君はどんな理由で私を生かしたの?』
「はい?」
『まさかとは思うけど・・・“蜃鬼楼の元総長とはいえ、今は普通の女子高生を殺すのは可哀想”ーーーーなんて、そんな糞くだらないセンチメンタリズムで、心臓を撃ち抜かなかったの?』
私は目に見えて分かるほど落胆し、ガクリと肩を落とした。
『もしそうだったら、私は君を相当買いかぶっていたことになるかな。 だから素直に謝るよ。“対等に扱ってスミマセン。先輩のはた迷惑なゲーム相手に、手を抜いてしまいました” ってね』
そこんとこどうなの?と、私は整った眉をひそめて問う。
ルナさんは暫し言葉を失って私を穴が空くほど見つめていた。
『違うでしょう、ルナさん。 君が私を生かしたのは、そんな矮小で脆弱な理由じゃない。 君が向けた暴力の矛先は間違っても元世界トップの総長じゃなかった。力で支配できる無力なか弱い、家政婦への挑戦状だったはずだ』
「・・・・・・・」
『君が求めていたのは、自分より強い人間から嬲られる行為でしょう? それを探すためのゲームだったはず。 なのに満足のいくような痛みを与えてくれる対象は弱い連中ばかり。・・・ねえ、ルナさん。君が不安や憤りを感じていたのは、対象が現れないことじゃない。 ルナさんは自分の思い通りにならないと気が済まない、生まれつき淫らな自分の性分に対してだ』
「くそくそくそぉぉぉっ!」
『る・・・ルナさん?』
頭がイカれて壊れたのかと首を傾げる。
けど、次の瞬間・・・。