Little Gang
ドサッ
『え・・・っ!?』
唐突に視界が反転して、私は目を瞬いた。
床に押し倒されたのだと理解するまで、数秒。
頭上には、悠然と微笑む彼の顔がある。
『私が勝者で、君は敗者。 この喧嘩は君が売って、私が買ったもの。 勝敗が決まった以上、口約束とはいえ君には勝者の願いを叶える義務がある。それが出来ない人間はそもそも賭けなんかをやるべきじゃない』
私は威嚇に怯まず、物怖じしない態度で瞳を光らせる。
「僕に、負けを認めろと?」
『当然。勝者は武器を奪った私だから』
「ゲームの報酬は?」
『私に、病んでるドSの息子が出来る』
は?と、虚を衝かれたように間の抜けた声を上げるルナさん。
私は構わず続けた。
『裏社会から身を引けば・・・私は一生、君の遊び相手になる。 オプションで、叩いて殴って縛って、もちろん道具も用意しましょう』
思わぬ方向に話が飛び火したルナさんはポカンと口を開けて呆ける。
「・・・・・・、」
ルナさんは難しそうな顔で眉間に皺を寄せて悩んだ後、互いの額を重ね合わせ、悪戯っぽい口調で告げた。
「そんなに僕のことが好きですか?」
『・・・・!』
「ふふ、そうですよね。 君は僕に銃を向けられても殺せないですもんね。邪魔する輩は誰もいません。永遠に可愛がってあげます」
『っ、卑怯、じゃないかな』
今までの包み込むような優しさとは違う、微かな痛みさえ感じるほど強く繋がれた手。
熱をはらんだ瞳で見つめられて、片手で愛しむように髪を梳かれて・・・。
こんなの、拒めるわけないのに。