Little Gang
「・・・さっき、みんな大好きだから僕が殺してあげるって言ったけど、虐めたいって思う人はめったにいないんです」
『うーん、オプションを変な意味で捉えられてるのも困りものだね』
「ああ、うん。 あれは家政婦さんなりの愛情表現。 もちろん恋愛感情とは違うけど」
『なら、』
「ユリお姉様」
言葉尻を掴む形で話を遮られる。
「君のことは・・・誰よりも綺麗な安楽死で殺してあげたいけど、同じくらい、大切にしたいとも思ってます」
『ルナさんって、意地悪、です』
「うん? 知らなかった?」
『顔が可愛いだけ、中身は腹黒い』
「こんな悪い奴に引っかかったのはユリお姉様のせいだから、諦めてくださいね?」
つ、とルナさんの指が私の右腕を辿る。
ずきんと鈍い痛みが走って、ルナさんの指先は腕に巻かれたハンカチの元で止まった。
「・・・傷、痛みますよね?」
心が麻痺してるから痛みは感じない。
「ごめんなさい」
そして、懺悔の言葉を投げかける。
なんだか今日はルナさんに振り回されてばっかりだけど・・・そんなルナさんが好き。
いつも目が離せない。
ルナさんのかわいいところ本当は優しいところ甘いものが大好きなところすべてが大好き。
むさ苦しい男所帯での癒しで心の支え。
どんどんルナさんの虜になってしまう。
気づくと抜け出せない、バッドエンドすら私にはハッピーエンドだ。
望むのは名誉の死。
だからって犬死にするつもりはないけど。