Little Gang
思惑
眩しい朝陽が、ちりちりと瞼を刺激する。
ゆっくりと瞳を開けば、見慣れない部屋と隣で眠るルナさんの視界が飛び込んできた。
一緒に寝たんだっけ、私。
いつもは時間が許すまで惰眠を貪るのに、珍しく目が覚めてしまった。
まだ少し肌寒い、秋特有の空気感。
夢の名残に、身体を包むふかふかのベッド。
目の前ですやすやと寝息を立てるルナさん。
ゆるりと流れる時間の穏やかさに、言い知れない安らぎが募る。
〜♪〜♪
新着のメッセージを知らせる音が鳴る。
画面には“兄さん”と出ていた。
『見つけた』
「っ・・・」
届いたメールの文面に、思わず背筋が凍りそうになってしまう。
なりすまし、じゃないよね?
『久しぶり、兄さん。4ヶ月振りかな 』
送信すると、すぐに兄さんからのメッセージが返ってきた。
『兄さんじゃなくてアンリだろ。 で、どういう風の吹き回しだ?』
『兄さんこそ。 未練がましく地獄から這い上がってきたの?』
『お前は蜃鬼楼の一員? Roseliaの裏切り者? 新しい飼い主はあの男の息子?』
必死に言葉を探しながら、心は別の意味での焦燥感に埋め尽くされていた。
兄さんにーーーRoseliaの人間に、ヒロトさん達のことがバレてしまった。
本当のことを言えば殺される。
上手く嘘をつけなければみんなを危険に晒す。
目の前の景色がぐるぐると回り始め、冷たい汗がどっと出てくる。
『早く答えろ』
『蜃鬼楼の元総長でもありRoseliaの裏切り者でもあるよ。 今はあの家で家政婦をしてるの』
そう送信した後、兄さんの反応を待つ。
少しの後、1件の不穏なメールが届いた。
『西郷兄弟を失いたくないよな?』
その言葉に、さっと血の気が引く。
まさか・・・。