Little Gang
『ごめんね、ヒロトさん。 私これからちょっと出かけなきゃいけないの』
「これから? ・・・また練習かよ」
『うん。 腕が鈍ってるから取り戻さないと。 頑張ってるヒロトさんに負けないくらい、私も頑張るから』
「・・・・・・・」
『じゃあ、さよなら』
これ以上は泣き出してしまいそうで、私は早々にヒロトさんから背を向けた。
そのままギターケースを肩に担いで、公園を出ようとして・・・。
「ユリ」
『ん?』
久々に聞いたその呼び名に、思わず振り返る。
「さよならだ? ちゃんと、帰ってくるよな?」
『私を探さないで』
「はあ?」
『今回の私は敵かもしれない』
「なんのことだ?」
『・・・戯れにちょっと・・・答えのない謎かけです』
「あっそ。 ・・・また明日」
『ん』
張り裂けそうなほど傷む胸は無視して、私は満面の笑みを返した。